オーガニックについて(オーガニックコスメ編)

以前、オーガニックとオーガニックフードについての記事を書きましたが今回はオーガニックコスメについてです。日本の自然派、オーガニック化粧品は近年、敏感肌の女性が増加していることや、安心・安全志向が高まっていること、エコやロハスなど環境を意識したライフスタイルを重視する消費者の増加と共に徐々に拡がりをみせています

[日本におけるオーガニックコスメの流れ]オーガニックコスメにもブームがありました

1990年~第1次ブーム

海外の大型ブランドが日本に参入します。ここから安心・安全な商品を求める傾向に。(敢えてカタカナで記載します) ジュリーク、ニールズヤード、レメディーズ、ラカスタなど

2000年~第2次ブーム
オーガニックとファッションもイコールとなる流れが始まり、急速に広がります。海外の中小オーガニックメーカーが参入し国内の企業も相次いでオーガニックコスメを発表します。アヴェダ、ジョンマスターオーガニック、イソップなど

2010年~第3次ブーム
オーガニックがもの、ものづくりからライフスタイルという考え方に移行。
2005年の薬事法緩和以降、各メーカー”オーガニック系”商品を相次いで発売。プロダクト、ローランドなど。

私自身、この”オーガニック系”、”ナチュラル系”、”ボタニカル系”があることでオーガニックの曖昧さが抜けきらなかったのですがここでこの3つの定義についても触れておきたいと思います

ピラミッドでイメージすると、底辺がボタニカル、中段がナチュラル、上段の先端部分がオーガニックです

オーガニックの定義

*第三者期間の認証を取得
*有機栽培法などの基準に基づいて栽培された植物を使用
*オーガニック認定成分を配合し、化学成分不使用または極力排除している
*環境に配慮された製造、包装を行っている

ナチュラル(自然派、天然)の定義
*ブランドラインナップの大部分に自然、植物素材を用いている
*植物由来の成分を多く配合し、コンセプトとしてナチュラルを訴求する

ボタニカルの定義

*一部植物由来成分を配合し、植物の力を引き出すことを謳っている

オーガニックの定義にある認証ですがオーガニックフードについては有機JASマークがオーガニックの記事とお伝えしましたが、現段階では日本で定められたオーガニックコスメの公的認証期間は存在しません

*日本オーガニックコスメ協会から私達が安心安全なオーガニックコスメを選びやすくする目的として
「JOCA推進マーク」が発行されていますが、推奨であり認証ではありません。

 

世界のオーガニック認証期間は国ごとにも様々な種類があります。

オーガニックの認証期間(主要な団体)ECOCERT(エコサート)
フランスの有機農法団体が定めた基準で世界最大級のネットワークをもつ。
*95%が自然由来。そのうち植物原料の95%はオーガニック認証原料である。
環境汚染の恐れのある成分を使わないなど。ドゥーオーガニック、オリジンズ、メルビータ、キールズ(一部)、ローランドなど

COSMEBIO(コスメビオ)フランスの認証基準。
エコサート基準を満たしたオーガニック化粧品に与えられる
*100%天然由来(植物、水、ミネラル)から構成されている、植物成分の95%以上はオーガニック、動物実験を行わない、遺伝子組み換えしていない。など。ドゥーオーガニック、フィッツなど

BDIH
ドイツ医薬品化粧品商工業企業連盟が定めた世界初の自然派化粧品基準。
ナチュラルコスメティックメーカーとして環境保護のための取り組みを実施する。可能な限り、有機栽培または野生の植物から原料を採取するなど。ロゴナ、ラヴェーラ、ドクター.ハウシュカ、ビオトゥルムなど

SOIL ASSOCIATION(ソイルアソシエーション)
イギリスのオーガニック認証機関。
*過去5年以内に遺伝子組み換え植物が栽培されていないこと。化学薬品、化学肥料、農薬を用いず栽培されていることなど。ニールズヤード、THREE(一部)など

ICEA(イチェア)
イタリアのオーガニックやエコ関連の消耗品の認定機関。
*石油由来原料の使用不可。動物実験の禁止。原料、容器の生分解性。

ACOオーストラリアのオーガニック認証機関。
COSMOSに加盟。日本の有機JASはこれを基準にしている。
*植物原料の農場は3年以上農薬を使っていないこと。栽培によって環境を破損しないこと。など

USDA
アメリカ農務省の統一基準によって製造されたものに付与される認証。
*水を含まない製品の95%以上がオーガニック原料であること。残りの5%も国が認めた合成物質、天然物質でなければならないなど。ジョンマスターオーガニックなど

NATRUE(ネイトゥルー)
ヨーロッパの化粧品メーカーが集まって発足させたオーガニックコスメ機関。
*★の数でオーガニックレベルを表示。化学合成香料、色素の使用は不可。石油系原料は使用しない。ヴェレダ、ロゴラ、ラベラなど

Vegan(ヴィーガン)
Vegan Societyが発行する、絶対採食主義者の基準。
*動物由来原料を使用しない。(牛乳や卵、蜂蜜、絹等由来の原料も不可)
動物実験を行わない。動物由来DNAの遺伝子組み換えを使用しない。ラッシュ(一部)、オリーブリーオーガニクス、ヴェレダなど

Vegan(ヴィーガン)[VEGetariAN]とは

1944年にイギリスにおいてヴィーガン協会の協同設立者であるドナルド・ワトソンによってつくられた言葉で当初、酪農製品を食べないベジタリアンの意味から、1970年代には動物由来の脂肪やたんぱく質を使わないという意味になったようです。ヴィーガンとは絶対菜食主義者、純粋菜食主義者のことでベジタリアン(菜食主義者)が、卵、乳製品、蜂蜜などを食べるのに対しヴィーガンはそれらも一切口にせず、革製品等食品以外の動物の利用も避ける人々のことです。

余談ですがファッションにおいても純粋な毛皮の使用を避け、フェイクファーなどの合成素材を活用している流れも広がってきているようです

HARAL(ハラール)
イスラム法で許された食材や料理、化粧品などに付与される認証。
*豚由来、アルコール類(グリセリン脂肪酸、コラーゲン)の禁止

またCOSMOS(コスモス)
[COSmetics Organic and natural Standard]といって
様々な認証機関がある中、消費者の混乱を避けるため、2015年5月に主要5認証団体(ECOCERT、COSMEBIO、BDIH、ICEA、SOIL ASSOSIATION)が国際NPO協会[COSMOS-standard AISBL]を設立されました。
オーガニックと自然化粧品の世界統一基準(COSMOS基準)を制定。ヨーロッパおよび国際的レベルで策定されています。
2017年1月より加盟団体の認証は全てCOSMOS基準となり各団体マークの下に「COSMOS ORGANIC」か「COSMOS NATURAL」が入ることとなりました

COSMOSの基準として
*成分の由来および処理加工、原料(水、ミネラル、化学的に処理された農産物原料、物理的に処理された農産物原料、その他原料)の提出。物理的に処理された農産物原料の95%以上はオーガニックでなければならない
*完成品の組成・・完成品の20%以上はオーガニック成分であること
*保管、製造および包装・・製造方法、保管方法が詳しい規定。可能な限り環境への影響が少なく、リサイクル可能な材料を使用
*環境管理・・製造過程における副産物、廃棄物に対する環境管理
*表示および情報伝達・・消費者の誤解を招かない、明確なもの
*検査、認証および管理・・正しく認証機関による検査が行われていること。定期的な実地検査を行うことなど。

オーガニックといっても、肌、身体、環境に良さそうな化粧品、シャンプーなどの中でオーガニック認証を受けているものはまだまだ少なく、ほとんどがパッケージやイメージ戦略などで売っているものが多いのではないでしょうか。

加えて2001年の薬事法改正以降、それまでは危険成分表示の義務付けから全成分表示にかわり何が良くて、何があまり良くないのか、、、私たち消費者は本当に良いものを求めるためにかなり専門的な知識を要する必要があったり専門的な知識を持っている’頼れる人’を求めているような気がします

*2001年薬事法改正について1980年(昭和55年)に厚生省は、102種類の化粧成分をアレルギーを引き起こす可能性があるものとして表示を義務付け、これを「指定成分」(現在は旧指定成分)と呼ばれています。以前はこれら102種類の「指定成分」だけを表示すれば良いことになっていましたが表示指定成分以外にも危険性が高い物質もあり、私たち消費者への情報提供のため、2001年4月に薬事法改正により、化粧品の全成分表示が義務付けられました

美容業界でもオーガニック認証をとったパーマ剤やシャンプー剤など本当にオーガニックと呼べる商品の発売が相次いでいます

以上、オーガニックコスメについての大まかな流れについてでした。何となく良さそうなオーガニック系なものを使うかオーガニック認証を受けているオーガニック製品を使うのか。ただ、オーガニック認証を受けている製品のシャンプーを使うと髪の毛がきしんだり、全然泡立たなかったり、、確かに良いものだとは思うのですが、使用感も大切ですよね。シャンプーに関して言えば水の次に多く使われている界面活性剤(全体の20~40%)にどのようなものが使われているのかも知る必要があるのではないでしょうか。実際に使ってみて自分の肌や髪に合う製品を選んでいきたいところです。

今回、遅ればせながら学び始めたオーガニックについてですがまだまだ知らないことだらけで、今後もう少し専門的な知識を深めていきたいと思います。私たち美容師がお伝えしていけることはこれからますます注目されていくオーガニックについてのことやイメージ戦略や広告に惑わされない本当に肌や髪に良いものを更に言えば環境にも配慮したシャンプーやスタイリング剤のご提案。

シャンプー剤に使われている洗浄剤である界面活性剤の正しい知識。そういったことも遠回りのようでオーガニックなライフスタイルへの取組みのひとつではないかと考えています。また、美容室でのカラーやパーマの施術において続けていくことでの肌や髪に対する負担の軽減など多岐にわたりますがオーガニックについても含め、少しずつお伝えしていけたらと思っています

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